隆 盛 を 極 め た ナ ー ラ ン ダ




静寂の中 そよ風に揺れる可憐な花々が 遺跡を包む


全 世 界 か ら 仏 教 徒 が 集 っ た





 その勢いの絶頂だった頃は、第一級の頭脳と人徳とを兼ね備えた、千人を超える教師僧と、全世界から選抜された一万人を超える学僧が居住して、仏道修行に励んでいました。
 学僧たちは、年少・年長の別なく、互いに研鑽し合い、毎日、百余りもの講義が開かれるという盛況ぶりだったそうです。現代でいうところの大学院コースもあり、その門戸は、諸外国の人々にも開放されていました。東アジア、中央アジア、東南アジア、中東など、世界中からの学僧で溢れ返っていたのです。
 学べる学問は、上座部仏教や大乗仏教、チベット密教の様々な仏教学を始め、哲学、文学、美術、文法学、論理学、音韻学、精神分析学、数学、天文学、医学、薬学、工学等々に及びます。今日の、人文科学、社会科学、形式科学、自然科学、応用科学といった学問分野の全てを網羅しているといっても過言ではないでしょう。
 あらゆる学問が教育・研究される総合大学として、大いに発展したことから、まさに学問の中心地だったことが窺えます。そして、この地を発信地として、世界中に仏教が伝わっていったのです。


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