遥 か 天 竺 に 思 い を 馳 せ て




1万人にも及ぶ学僧の 熱気を知る赤煉瓦の遺構は かつての隆盛ぶりを雄弁に物語る


か つ て 一 万 人 の 学 僧 が 学 ん だ 世 界 最 古 の 仏 教 学 府





 ナーランダ僧院(大学)は、釈尊成道の聖地、ブッダガヤの北東、マガダ国の首都で釈尊御説法の聖地、王舎城にほど近い地に建立されました。
 近郊には、釈尊が数々の教えを説かれた霊鷲山、仏教史上初の寺院である竹林精舎などの聖地が点在し、釈尊が使用された楊枝から生えた樹木や、釈尊の髪や爪が祀られるなど、釈尊縁の伝説が数多く語り継がれています。
 このような仏縁深き地に、かつてないスケールで建立されたナーランダ僧院は現在、当時の壮麗さを彷彿とさせる風貌を纏った、煉瓦造りの遺構として、のどかな田園地帯に佇んでいます。


 ナーランダ僧院が創建されたのは、釈尊御在世の時代から下ること、およそ九百年、グプタ王朝第四代、クマーラグプタ一世(帝日王)の時代といわれています。王は仏教に帰依し、釈尊縁の勝れた土地を選んで、ここに伽藍を建立されました。
 その後、帝日王の子孫も次々と仏教に帰依し、南方、東方、東北方、西方と、立て続けに伽藍が建立されました。
 七世紀に至り、分裂状態にあった北インドを再統一したハルシャ・ヴァルダナ王(戒日王)は、北にさらなる大伽藍を建立し、僧院の四方に垣を高く巡らせ、全ての伽藍に一つの門から出入りするようにし、庭園を別々にして内部を八つに分けました。
 時の王による創建、増改築、外護という恩恵を受けたナーランダ僧院は、八百年近く、世界唯一にして最大の仏教僧院、即ち最高学府として栄えたのです。


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